1:01 12 2010


2007年の映画になるが、「いのちの食べ方」という普段自分たちが口にする「食品」にまつわるドキュメンタリー映画を観た。ドイツで製作された映画で、各国の映画祭ドキュメンタリー部門で賞を獲得するなど、評価を得ていた作品のよう。原題は「our daily bread」。日本ではなじみはあまり無いかもしれないが、"bread"という言葉は聖書にも頻繁に出てくる宗教的ニュアンスがある言葉のような気がする。邦題の「いのちの食べかた」のなかで"いのち"という言葉がそのあたりのニュアンスをある程度補完する役割を果たしているのかも。
大量生産用の「生産ライン」という概念は、本格的にはたしかアメリカが運用レベルまで持っていっているが、その当時はまさか、「いのちあるもの(生き物)」までが生産ラインに乗せられていくとは誰も想像もしなかったはず。このドキュメンタリーには、「生き物の"いのち"」がプロダクツ(製品)に強制的に変容されて無慈悲に処理されていくさまが映っていた。ほとんどSFに近いような印象さえ受ける。日々、このような過程から生まれた「our daily bread」を無自覚に食しているのが自分である以上、あまりきれいごとは言えないが、このような事実を知っていることと、知っていないことの差は大きいような気がする。急にベジタリアンになれるわけではないが、生き物の「命」が消費目的のために大量生産され、「生産ライン」に乗せられていくことには本能的に違和感を感じた。こういった、本能的な違和感は大切なことなのかとも思う。